雌雄逆転!?

ブラジルの洞窟に生息する雌雄の交尾器の構造が逆転した体長3ミリほどのチャタテムシという昆虫の仲間が発見された。

発見した吉澤さんらは、平安時代後期の宮中を舞台に姉弟が性別を入れ替えて暮らす物語を描いた「とりかへばや物語」からとって、この昆虫に「トリカヘチャタテ」という和名を付けた。

 

昆虫は交尾をする時にオスがメスに栄養が入った袋を同時に渡す場合がある。性が逆転した進化のシナリオとして、メスが卵を産むコストよりもオスが栄養が入った袋を作るコストの方が上回った結果、交尾器の構造も逆転したのではないかとされている。また、栄養をめぐる雌同士の競争も起き、挿入器の発達を促したのではないかと推察している。

 

吉澤和徳さんは論文発表当時の2014年4月、科学技術振興機構(JST)サイエンスポータル編集部の取材に「生物の性差がどのように進化したかはまだ決め手がない。性の逆転は極めてまれだが、雌雄が逆転した生物の研究は進化の性選択理論の検証に重要な意味を持つ。最初、標本を見たときは、どちらが雌か雄か、混乱させられて、びっくりした。チャタテムシの分類学者は日本で私だけ、世界でも5人ぐらいだ。そうした地味な昆虫の研究から始まった発見で、基礎研究の重要さをあらためて痛感した」と話している。

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