世界中から昆虫が消えたら
昆虫が嫌いな人がよく言う「昆虫がいなくなればいいのに」
本当にそうなったらどうなるでしょうか。
考えてみてください。
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風景は平面的な油絵のようになり、鮮やかな蝶やまばゆい甲虫が見えなくなった。
規則正しいコオロギの音や、飢えた蚊のしつこい羽音も聞こえなくなった。
昆虫がいなくなり最初に被害を受けたのは鳥だった。
ツバメの雛一羽が成鳥になるには約20万匹の昆虫を必要とする。それが皆無になった。
地球上に存在する約1万種の鳥類の半数が飢えて絶滅し、痩せ細った死骸が地面や巣の中に散乱した。
鳥、ヒト、リスなど地球に生まれて死する運命にある生き物のありとあらゆる死骸が積み重なり始めた。
人間の死骸の約60%を一週間で消化できる蛆虫の卵を産むクロバエは姿を消し、蛾やカツオブシムシ科の甲虫など今まで死骸を分解していた昆虫たちもいなくなった。
バクテリアや菌類はかろうじて残っていたが仕事のペースははるかに遅い。それらだけでは不十分だった。
肉片や骨が残されて発生する腐敗臭に加えて、糞便の津波が押し寄せるようになる。家畜の糞を分解する適切な糞虫たちもいなくなっていた。
少なくとも6500万年前から感謝されずに無料で清掃作業を行ってきた8000種類に及ぶ糞虫はもういない。
次に食糧供給が崩壊した。
世界中の農作物の3分の1以上は、その受粉を数千種のハナバチ、蝶、ハエ、蛾、カリバチ、甲虫に頼っていた。
広大な果物や野菜の畑は朽ちていった。
農家は、害虫を駆除するために農薬を散布する必要は無くなったものの食べられるものがほとんどなくなった。
リンゴ、ハチミツ、コーヒーは高価な贅沢品になった。
カカオの木の無名の送粉者であるタマバエ科やヌカカ科の昆虫もいなくなったので、チョコレートが食べることができなくなった。
ハナバチがいなくなったために、イチゴ、モモ、メロン、ブロッコリーなど身近な食材も失われ、その他の野菜や果物も奇妙な形に変わったり、哀れに縮んでしまった。
幸いなことに破局的な飢餓はかろうじて免れてた。
小麦、米、とうもろこしは風で受粉するからだ。
とはいえ、食事は味気ないものになった。
牛も数を減らしていった。
牛の減少は牛乳や乳製品の不足をもたらし、チーズやヨーグルト、アイスクリームが姿を消した。
政府が労働者を大量動員して人工授粉を始めたとする。
送粉昆虫と植物の間に1億年間にわたって進化してきた共依存関係に比べると、それはとてもお金がかかる上に非効率である。
ドローンやロボットハナバチを開発したとしても、研究が進んでいないので不十分に終わるだろう。
開発途上国ではマラリアや西ナイル熱が蚊のがいなくなったことで排除されたが、柑橘類の不足は壊血病の復活をもたらすことになった。
昆虫は様々な国や地域において代替医療の基本材料となっていた。
ハチミツは抗酸化物質および抗菌物質として心臓病の治療に使用されていた。
カリバチの毒には癌細胞を殺す効果があることが判明していた。
昆虫はこれから起こるであろうパンデミックを撃退するための特効薬になるのではと期待されていた。
というのも、ノババックス社製のコロナワクチンは、ツマジロクサヨトウ(蛾の一種)の細胞を利用して開発されたものだからだ。
野生の顕花植物(花をつける植物)の約90%は送粉昆虫に受粉を依存している。
この手助けを奪われた上に、昆虫がリサイクルして土壌に戻していた栄養分がなくなり枯れ果てていった。
野生の草原が消え、熱帯雨林もなくなった。
人類はその食物の半分以上を顕花植物から直接得ていたため飢餓率はさらに高まった。
生態系が崩壊し、気候変動が加速していくだろう。
以上の文章は「昆虫絶滅」という本からの引用です。
人類は今まで昆虫が存在しなかった世界に存在したことがないので推測でしかないのですが、
人類にとって昆虫がいなくなることはかなりの損失になることを知ってもらえたら昆虫好きとしては嬉しいです。
様々な生物学者の方の意見と今まで判明している事実を踏まえての推測なのでかなり現実的だと思っています。
昆虫たちは私たちの生活にかなり貢献してくれています。無料で。
現在急速に昆虫たちが数を減らしています。
上記に挙げたことにどんどん近づいてきています。
ですが、それに気づいて声を上げているのは生物学者と昆虫好きだけです。ほとんどの人類は関心すら持たない。
どうやったら多くの人が関心を持ってもらえるのか、常に考えているのでこれをきっかけに昆虫に関心を持ってもらえたら嬉しいです。